ベックスコーヒーに「月27.7回」も! JR東日本のサブスクは、どのように使われたのか「実証実験」の結果(1/4 ページ)

» 2021年11月06日 08時10分 公開
[土肥義則ITmedia]

 子どものころ大人の姿を見て、疑問を感じていたことが2つある。1つは、コーヒーを飲んでいること。「黒い液体=苦い」と感じていたので、「ミルクや砂糖を入れずに飲むなんてあり得ない」と思っていた。もう1つは、朝からそば(うどんも)を食べること。そばが苦手というわけではなく、「朝からズルズルと食べるなんて、信じられない」と感じていた。

 が、しかしである。大人になり過ぎたいまは、どちらも大好きである。コーヒーは1日に何杯も飲むし、かき揚げそばは大好物である(特に、二日酔いの朝は最高である)。毎日のように利用している人であれば「回数券ではなく、定期券のようなサービスがほしいなあ」と思ったことがあるかもしれないが、そんなニーズを満たす“定額制”が登場し、人気を集めていたのだ(現在は終了)。

ベックスコーヒー(上野中央口店)

 サービス名は「JREパスポート」。東日本旅客鉄道(JR東日本)、JR東日本クロスステーション、favyの3社が協同で、Suicaの通勤定期を持っている人を対象に、コーヒーやそばのトッピングなどを利用できるサブスクの“実証実験”を始めたのだ。期間は7月6日から8月31日まで。

 対象となるのは、上野、秋葉原、八王子の3駅。どんなサービスを提供していたのかというと、カフェ「BECK'S COFFEE SHOP」(以下、ベックスコーヒー)で会員証を提示すると、ブレンドコーヒー(Mサイズ、通常300円)が出てくる。1日3回まで利用できて、月額2500円。「ということは、9杯飲めばモトがとれるのね」と計算された人も多いのでは。ちなみに、マイボトルを持参するタイプは月額1500円。6杯飲めば、モトがとれることになる。

ベックスコーヒーのコーヒーを1日3回まで利用できるようにした

 このほかにも、そば屋「いろり庵きらく」では注文時にトッピング1品を無料で提供したり(1日1回まで、月額1000円)、シェアオフィス「STATION BOOTH」を2時間利用できるようにしたり(月8回まで、月額6400円。他のサービスもあり)。

シェアオフィス「STATION BOOTH」を利用できるようにした

 サービス内容を紹介すると、「ちょっと大盤振る舞いじゃないの? もうからないのでは?」と心配されたかもしれないが、そこは大丈夫。ビジネスとしてきちんと利益がでるようにしていて、「使えば使うほど、赤字が膨らむような設計にはしていません」(JR東日本の担当者)とのこと。

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