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動画広告の効果最大化!「Talent YouTube+TV」No.3

タレントのYouTubeチャンネルで、フィリップスの電動歯ブラシを訴求してみた!

2021/11/18

タレントのYouTubeチャンネルで、商品タイアップを行う企業が増えています。商品を効果的に訴求するためには、どのような点に目を向ければいいのでしょうか?

Talent YouTube+TV
kamui tracker 調べ

今回は、フィリップスの電動歯ブラシ「ソニッケアー 9900 プレステージ」の事例を取り上げ、制作に携わったメンバーが、企画意図やタレント選定、実施した感想についてディスカッションした様子をリポートします。

※本記事は、FIREBUGと電通が2021年8月に実施した共催ウェビナーの内容を、ウェブ電通報編集部の視点で記事化したものです。

 

タレントそれぞれの世界観の中で、商品を印象的に見せる

タレントのYouTubeチャンネルのプロデュースに強みを持つFIREBUG(※1)と、マスメディアでこれまで多くの広告を手掛けてきた電通。両社はタッグを組んで、タレントのYouTubeチャンネルにおける商品タイアップを企画・制作しています。

※1 FIREBUG:主にデジタル領域において、タレントのSNSサービスのコンサルティング、コンテンツ制作・サポート、アーティストのプロデュース事業などを幅広く手掛ける。エンターテインメントを軸に企業に多角的なマーケティングソリューションも提供。2020年11月、電通と業務提携した。

 

フィリップスの電動歯ブラシ「ソニッケアー 9900 プレステージ」のタイアップでは、ロンドンブーツ1号2号の田村淳氏、モデルの矢野未希子氏を起用しました。

「ロンブーチャンネル」
(画像をクリックすると公式YouTubeチャンネルで動画をご覧いただけます)

ロンブーチャンネル
田村氏の「ロンブーチャンネル」では、ご自身のモーニングルーティン(朝の習慣)を紹介する企画の中で、商品を紹介。寝起きの田村氏をアポなしでインタビュアーのニブンノゴ!森本英樹氏が直撃。時折笑いを交えながら、歯ブラシと連動したアプリなど機能面の特徴や使用感について話す様子がアップされています。

「MIKKO CHANNEL」
(画像をクリックすると公式YouTubeチャンネルで動画をご覧いただけます)

MIKIKO CHANNEL
矢野氏の「MIKKO CHANNEL」では、普段使用している11の美容アイテムのひとつとして「ソニッケアー 9900 プレステージ」を紹介。美しい映像のなかで、商品のデザインの良さをうまく見せています。使用シーンでは、歯磨き粉がいらないことや、ブラッシングの強さをセンサーで自動調節してくれることなど、この商品ならではの良さをさりげなく伝えています。

どちらの動画もいい意味で広告らしくなく、それぞれのYouTubeチャンネルの雰囲気に商品がうまくなじんでいるのが特筆すべき点。これらの動画はネットニュースにも取り上げられ、動画の再生回数アップにつながりました。

タレントのYouTubeチャンネルで商品タイアップをするときのポイントは?

ウェビナーでは動画の紹介に続いて、制作に携わった電通の坂本恵里氏、一芝賢太氏と、インフルエンサー活用の専門家である溝渕竜三朗氏が登壇。本企画についてさまざまな角度からディスカッションしました。

Talent YouTube+TV

商品認知から購買意欲の醸成まで一気に行うため、YouTubeタイアップを企画

ディスカッションではまず、一芝氏が、YouTubeタイアップを企画した意図を説明。「『ソニッケアー 9900 プレステージ』は約4万円もする、フィリップスの最上位機種です。これをローンチするタイミングでしっかり売っていきたい、というのがクライアントの要望でした。この要望に応えるため、商品の訴求メディアとして、タレントのYouTubeチャンネルを選びました」

企画の背景には、電動歯ブラシならではの3つのポイントがあるといいます。

1つ目は、電動歯ブラシは、認知しただけでは買わない商品であること。「歯ブラシについて悩みを抱えている人はほとんどいませんから、新しい電動歯ブラシが出たからといって気軽に購入するケースはまれでしょう。電動歯ブラシは日用品ではなく、もっと歯を白くしたい、口腔内の健康を保ちたい、魅力的な自分になりたい、という気持ちから買うものだということを念頭に置きました」

2つ目は、普段、電動歯ブラシについて考えている時間はほぼないこと。「だからこそ、認知させたその場で、興味を持たせ、買いたい気持ちになるところまでもっていくことが必要不可欠だと感じました」

3つ目は、電動歯ブラシの市場は成熟しきっているということ。「競合にはメジャークライアントの素晴らしい商品があります。だからこそ、他社と同じような訴求をメーカー発信で行ってもメッセージが埋もれがちです。例えば、フィリップスには『14年連続 歯科医の利用率No.1』という強みがあります。これを、メーカーが伝えるのと、実際に使っているタレントが伝えるのでは、生活者への浸透度は全く異なると考えました」

こうした電動歯ブラシならではのポイントを考えた結果、タレントのYouTubeチャンネルなら、他社と違った訴求ができて、認知から購入意欲の醸成にまでつながりやすいと考え、クライアントに施策を提案したといいます。

テレビCMより金額を抑えて、知名度があり商品の世界観に合うタレントを起用できた

続いて、タレントの選定について、一芝氏が説明しました。

「田村さんを選んだ理由の一つは、ご自身のYouTubeチャンネルで健康にまつわる動画が多く、電動歯ブラシとの親和性が高かったからです。加えて、商品のことを深く理解して使ってくれる。以前、別のウェビナーで田村さんが『本当に自分が良いと思うものしか紹介しない』とおっしゃっていたのがとても印象に残っていました。田村さんなら、第三者のリアルな声をきちんと届けてくれると感じました。また、約4万円もする商品を訴求するにあたり、『第一線で活躍するハイレベルなタレントを起用したい』というクライアントの要望にもぴったりだと考えました」

この商品は男女問わず使用してほしいという思いがあり、田村氏を男性向け、矢野氏を女性向けとしてアサインしたといいます。矢野氏の起用に関しては、スタイリッシュなデザインを訴求する上で、彼女のおしゃれな世界観が合うと感じたことも理由の一つだったそうです。

タレントの選定にあたっては、ギャランティも大きなポイントになったといいます。「テレビCMでタレントを起用するとギャランティが高くなりがちです。今回起用したのは、人気があり知名度も高い方々ですが、YouTubeはテレビCMよりも低い金額でアサインできる可能性があるので、チャレンジしてみました。その結果、この金額でアサインができるのかと、とても驚きました」

二人の起用について溝渕氏は、「クライアントには、他のタレントも提案しましたが、バランスよく選んでいただけたと思う。それぞれの方の個性が生かされ、全く異なる動画となっているのが良かった」と述べました。

商品の売り上げだけでなく、商品ページへのリーチ、エンゲージメント数もKPIに設定

一芝氏は、タレントのYouTubeチャンネルで商品を訴求するにあたって行った、KPIの設定について述べました。

「クライアントの指標は、商品がどれだけ売れたかということですから、購買トラッキングを行いました。ただ、電動歯ブラシのような商品は、動画を見てすぐ購入するのではなく、『まずは調べてみる』というアクションを起こす人が多いですから、商品ページへの遷移やエンゲージメント数もKPIに設定し、追跡しました。

YouTubeでTrueView広告(※2)を配信しているクライアントは、YouTubeで訴求しても、商品ページのクリック数が伸びないと思うことが多いようです。しかし、YouTubeチャンネルを持っているタレントは、彼らを支持するファンに直接リーチすることができますし、ファンの方から能動的に動画を見にきます。また、動画内で『動画の概要欄をチェックしてね』と促し、概要欄から興味のある商品URLをクリックするという導線が確立されているので、通常のTrueView広告とは異なるパフォーマンスが期待できます。うまくいくとタイアップ動画から2~5%のクリック率、動画の内容が良ければもっと高い数字を獲得でき、そこから売り上げにつながることもあります」

※2 TrueView広告……YouTubeなどで動画を見る際に、本編の前や途中に挿入される広告。


クライアントの要望とタレントの意見を丁寧にすり合わせることが大事

ディスカッションの最後には、企画を実施する際に苦労した点について意見を交わしました。

坂本氏は、「タレントのYouTubeチャンネルの世界観の中で、クライアントが打ち出したい商品の魅力・ポイントをいかに盛り込むかが大変でした。タレントは、ご自身のイメージやチャンネルの世界観とかけ離れた訴求ポイントなどを求められることに抵抗があります。クライアントとタレント、双方の譲れないポイントのバランスを取り、調整することに苦労しました」と話しました。

このコメントに対して一芝氏は「それぐらい、企業もタレントもこだわりや熱量を持って動画をつくることが大事です。例えば矢野さんは、動画制作のオリエンテーションの段階から、ご本人が参加し、企画に対して熱心に質問をされていました。そして、商品を実際に使っていただき、ご本人が気に入って初めて企画にOKをいただきました。本当に良い商品だと実感いただけたからこそ、クオリティの高い動画ができたのだと思います」と、丁寧にプロセスを踏む重要性を強調しました。

タレントYouTubeの商品タイアップの最新事例とその裏側を紹介した今回のウェビナー。商品の良さを「誰が、どのように伝えるか」を突き詰めて考えることで、視聴者の心に刺さる訴求ができることを実感したと同時に、タレントYouTube活用の可能性を大いに感じることができました。

次回は、本ウェビナーの中から、「地上波を活用した企業・商品のファンコミュニティ育成」をテーマにしたセッションの内容をリポートします!

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