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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

これからのブランドと接客を考える

D2C事業で得た学びを既存ビジネス改革に活かす 食のパーツ屋さん・不二製油が挑む新たな形の顧客理解

 小売のありかたや接客の概念に劇的な変化が訪れ、変わりゆく時代の中で、企業・ブランドを運営する方々は自身の個性や長所を活かしながら、新たな挑戦を続けていることでしょう。当連載では、PLAY inc.の四元さんが小売や接客、EC関連ビジネスに携わる方とともに「これからのブランドと接客」について語ります。今回は、不二製油株式会社 営業部門 営業戦略室 ソヤファームクラブ 長森真信さんとの対談です。

20年以上の営業経験からハレーションなき新事業の確立を目指す

四元(PLAY inc.) 不二製油と言えば、BtoB食品市場では多くの企業とお取り引きや実績がありますが、改めて御社が展開する事業について教えていただけますか?

長森(不二製油) 大学生向けの就活セミナーなどに登壇する機会もあるのですが、私は不二製油のことを「食のパーツ屋さん」と表現しています。

 当社は、養蚕業がまだ日本で盛んであった1950年に創業しました。蚕から出る油を使ってビジネスを展開していましたが、産業衰退とともに生産量や需要も減少し、新しいビジネスモデルを作ろうと目をつけたのが大豆です。大豆から油を絞るだけでなく、絞った後の素材そのものも活用できないかと考えて生まれたのが、大豆ミートなどの加工素材でした。

 油についてはもうひとつ、パーム油にも着目して事業展開しています。既製品のチョコレートは常温では固形でありながらも、口の中で溶けるようにできていますよね。こうした温度帯を軸にしたビジネスは、今の不二製油の大きな柱となっています。

不二製油株式会社 営業部門 営業戦略室 ソヤファームクラブ 長森真信さん

四元 こうしたビジネスは、どういった発想から生まれてきたのでしょうか。

長森 自社で手掛けていた素材をより活かせないか、という視点もありますし、取引先からの要望を踏まえて生まれたものもどちらもありますね。たとえば、口溶けの良いチョコレートを作る技術は、大手菓子メーカーが戦後新しい商品を開発する上でご相談をいただき、オーダーに応える形で生み出してきたものです。大豆ミートも食品メーカーから食感や色味のご要望を受けて開発してきました。

四元 そんな不二製油に長森さんは新卒入社されたとのことですが、動機は何だったのでしょうか。

長森 私は、大学まで陸上部に所属していました。体育会かつバブル世代ということもあり、さまざまな企業からお声がかかりましたが、就職活動時にOB訪問したあるメーカーの方に「入るならうちより不二製油が良いぞ」と言われたのです。そして企業訪問をしたところ、工場からチョコレートの匂いがして「なんだかおもしろそうなことをやっているな」と思いました。事業内容や営業所の数などに着目して最終的に入社を決めましたが、蓋を開けてみると陸上部で当時飲んでいたプロテインにも不二製油がかかわっていたなど、縁のようなものもあったのかなと感じています。

四元 そこからずっと営業ひと筋で働かれてきたのでしょうか。

長森 ずっと営業の仕事をしてきましたが、10年ほど前からマーケティングにも携わるようになりました。そして、今はD2C事業「ソヤファームクラブ」の立ち上げに携わっています。

四元 営業からマーケティング、事業開発と目線が変わってわかることもあると思いますが、ギャップやもどかしさを感じたことはありますか?

長森 営業を20年ほどやってきたからこそわかることも多いなと思っています。マーケティングに携わる人は、どうしても「新しいことをやらねば」と躍起になりますが、これまで築き上げてきた文化を変えるには社内の協力が必要不可欠ですし、納得できないことには誰も動いてくれません。

 また、当社はBtoBで取引先の要望に応えるオーダーメイドでの対応力には自信を持っていますが、D2C事業を展開するにあたりSTP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)の「セグメンテーション」が苦手であることがわかってきました。

 ソヤファームクラブではプラントベースフードを扱っていますが、市場を開拓するには食べたことがない人に食べてもらう機会を創出しなければなりません。そこにはマーケティングが必須ですが、当社はまだ「誰に向けて」「どのようなアプローチをすべきか」を考える能力が不足しています。こうした力を身につけるには、まだまだやるべきことがたくさんある状況です。

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この記事の著者

ECzine編集部 木原 静香(キハラシズカ)

ECに関する情報を、さまざまな切り口からお届けできればと思います。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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