2022/12/11

【先駆】買い物中の絶妙広告、九州発「トライアル」の秘策

NewsPicks 編集部 記者
ファミリーマート、セブン-イレブン、イオン、マツモトキヨシ。この1〜2年で、日本の小売り大手が相次いで「広告」のビジネスに参入した。
消費者の購買データを大量に持つ強みを生かし、デジタル広告のターゲティングや効果検証の精度を上げる。
そして自社の店舗からアプリ、ECサイトまでを、広告媒体として育てようとしている。
小売りのメディア化=「リテールメディア」ともいわれるこの領域だが、5年以上前からいち早く目をつけていた企業がある。
九州発のディスカウントストア大手、トライアルホールディングスだ。
傘下のトライアルカンパニーは、本社を置く福岡県を地盤に、全国で271店舗を展開する。直近2022年6月期の売上高は5974億円。この10年で倍増し、今や6000億円に迫る勢いだ。
そんな絶好調のトライアルは、創業者の永田久男会長が1981年に設立したソフトウェアの販売会社を前身とする。ITで小売りを変えるべく、オペレーションを知るために小売りに進出したという経緯がある。
ITが出自のトライアルグループで現在、デジタルソリューションの開発を担うのがHD傘下のRetail AI(リテールAI)だ。
2018年、このリテールAIが「スマートショッピングカート」なるものを開発した。買い物客はカートのスキャナーに商品のバーコードを読ませ、専用のゲートから出れば、レジを通らずに会計が完了する。
実はこのカートが、リテールメディアの重要なカギを握っている。
一体どういうことなのか。永田会長の長男でリテールAIの永田洋幸CEOと、同社グループと電通グループが合弁で設立した広告会社、SalesPlus(セールスプラス)の関晋弥代表に直撃した。
INDEX
  • 買い物カートで1人1人に広告
  • 日本人は店で買うものを決める
  • 「使える購買データ」のパワー
  • 一斉に切り替わるサイネージの威力
  • コンサルがやれるほど生易しくはない
  • メーカーと二人三脚で歩む理由

買い物カートで1人1人に広告