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消費者調査からひもとく生活の変化

食事の変化から見えてくる、コロナ禍で顕著になった「考えたくない」消費者心理

生活現場で起きている「変化」に注目し、15年間で約1万人の消費者心理を分析してきた犬飼江梨子氏が消費者調査で得たデータを元に解説する本連載。第4回は、コロナ禍で変化する「食事」と、その中から見えてくる人々の意識について迫ります。

考えたくない消費者が増えている?

 今回のテーマは食事における変化です。2020年からは、食に関するリサーチも多く実施させていただきました。特に、コロナ禍で起きている食卓の変化については100名以上の消費者に話を聞いています。

 コロナ禍で家庭の食事の負担が増えていることは予想の範囲だと思います。では何がそんなに大変なのか。何にそこまでの不満を感じているのでしょうか。

 インタビューで掘り下げていくと、必ずたどり着くのが、「何を作るか決めるのが大変」「いつも同じメニューでマンネリ化してしまう」という悩みです。つまり、今日何を食べようかと考えることが負担のようなのです。コロナ禍以前もよくあった悩みだと思いますが、コロナ禍で加速をしたような印象を受けます。

 消費者は自分で考えて意思決定することに負担を感じており、できれば避けたいと思っているのだと気づきました。この「考えたくない」というトレンドは食だけではなく、他のことにも派生している可能性があります。

 そこで、まずは食生活について、新型コロナウイルスの流行が始まって1年以上が経過した今の実態を改めて調べてみることにしました。その上で、「考えたくない消費者」の実態にも迫っていきたいと思います。

 本稿を執筆するにあたり、以下のアンケート調査を行いました。

【コロナ禍の食事に関する実態把握調査】

調査方法:WEBアンケート調査
調査期間:2021年8月6日~13日
対象者条件:全国20‐69歳の男女有
効回答数:1096サンプル
調査主体:株式会社イー・クオーレ

コロナ禍で増える家食、何が不満?

 コロナ禍で変化した食事について、人々はどんなことを負担に思っているのでしょうか。以下は、現在の食事において不満に感じていることを、年代と子どもの有無で分けて表したグラフになります。

新型コロナウイルス流行後、現在の食事において不満に感じていること タップ/クリックで画像拡大(以下同様)
新型コロナウイルス流行後、現在の食事において不満に感じていること タップ/クリックで画像拡大(以下同様)

 上位二つの「友人・知人・親戚などと食事ができない」「あのお店の味が食べられない」については、「やりたくてもできない」ことにおける不満といえるでしょう。ここでは、三つめ以下の「家での食事が増えたこと」にまつわる不満に注目していきたいと思います。

 最も不満に感じられているのは、「家での食事のレパートリーがマンネリ化/メニュー決めに迷う」でした。食事の準備を担うことが多いと思われる、子ありの20‐40代の女性では35.5%、50‐60代の女性では27.1%と突出しています。

 このグラフから、家での食事が増えて、人々が最も負担に感じているのは、「メニュー決め」だということがわかります。

 しかし、これはコロナ禍の変化に限ったことでしょうか?食事を作ることが多い、子どもがいる既婚女性にはよくある悩みかもしれません。そこで、コロナ禍が始まった直後と現在とで「家での食事のレパートリーがマンネリ化/メニュー決め」がどの程度不満に感じられているのかを、年代と子どもの有無でグラフにして比べてみました。

食事の献立を考える不満の度合い
食事の献立を考える不満の度合い

 コロナ流行直後と比べて、子ありの20‐40代の女性では9.7ポイント、50‐60代の女性では7.7ポイント、不満に感じている人が増えていることが読み取れます。

 ここから、「家での食事のレパートリーがマンネリ化/メニュー決め」については、以前から不満に感じてはいたものの、コロナ禍によって家で食事する頻度が上がったことで、その不満が一気に表面化してきたことが想像できます。

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この記事の著者

犬飼江梨子(イヌカイ エリコ)

消費者心理分析専門家 マーケティングリサーチ会社 (株)イー・クオーレ代表取締役 15年間で約1万人の消費者心理を分析。「顧客が真に求めるニーズを見つけ出し、それを解決する方法を考える」ための調査に定評がある。消費者の変化に注目し、新商品開発のための調査や商品リニューアルのための調査を多数実施し、...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/09/21 07:00 https://markezine.jp/article/detail/37193

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