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MarkeZine Day 2022 Autumn

「行動×意識」で見えてくる生活者の欲求 博報堂生活総研のデジノグラフィ研究事例

 近年、ビッグデータによって生活者の行動をこと細かに追うことが可能となった。しかし、一人ひとりの生活者の思いや、心の動き、未来の行動につながる隠れた欲求までは見えてこない。MarkeZine Day 2022 Autumnでは、博報堂の酒井崇匡氏がデジノグラフィの最新研究事例を紹介。これまで見えてこなかった生活者の行動と意識の関係性、そこから導かれる新たな欲求について実際のデータを交えながら解説した。

消費者を超えて、人や暮らしを丸ごと捉える仕組みを構築

株式会社博報堂 博報堂生活総合研究所 上席研究員 酒井崇匡氏
株式会社博報堂 博報堂生活総合研究所 上席研究員 酒井崇匡氏

 「生活者発想」をフィロソフィーとする博報堂グループのシンクタンクとして、1981年に設立した博報堂生活総合研究所(以下、生活総研)。人間を、単なる消費者としてではなく、様々な側面を持つ「生活する主体」として捉え、独自の視点・手法でその意識と行動を研究している。

 生活総研では従来、長期時系列調査で得られたLONG Dataと、定性的な調査で得られたTHICK Data、2つのデータを生活者の洞察のために駆使していた。その中で、第三のデータとしてのビッグデータ(BIG Data)の活用に行き着く。インサイトの発掘にビッグデータをどう使うかが課題だったが、今回紹介するデジノグラフィという手法を編み出したことで可能になった。

 デジノグラフィは生活総研が様々なデータホルダーと協働で推進する、デジタル空間上のビッグデータをエスノグラフィ(行動視察)の視点で読み解く試みだ。

行動観察がインサイト発見につながる

 データ分析は、まずきちんと仮説を立て、それを検証することが大事だと言われる。しかし、マーケティングにおける良質な仮説の多くは、様々な生活の現場をフラットに観察することで得られた気づきがベースになっている。ビッグデータもまずは観察を行うことが重要だ。

 たとえば、スマホログデータを基に東京の20代女性と東北の20代女性についてアプリの利用率ランキングを観察してみると、上位を占めるアプリが微妙に違うことに気付かされる。公共交通機関が発達している東京の20代女性は、乗り換え案内アプリの順位が東北の20代女性よりも高い。一方で、キャッシュレスアプリの順位は意外にも東北の方が高い。また、どちらも複数のマンガアプリが上位にランクインしており、地域に共通した年代の特徴が現れている…などだ。

 このように、行動データを簡単に分析できるようになったことで、以前は苦労対効果の悪かった行動観察をインサイト発見の手法として活用しうる技術的な環境が整った。

 「これまでビッグデータ活用のメイン領域だった施策最適化を目的としたアプローチは、続けていくとどうしても効果が薄くなってきます。刷新する、新しい商品を開発するためには新たな『問い』を見つけないといけません。そのこともあり、インサイトの発見は非常に重要だと我々は考えています」(酒井氏)

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この記事の著者

西原 小晴(ニシハラ コハル)

 京都府立大学農学部出身。前職は大手印刷会社にて化学物質管理のシステム開発&管理者。退職後、化学・建設・環境法規制などの知識を活かして大手企業のライティングを行う。現在はリードナーチャリング、セールスライティングをメインとするマーケターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/11/10 08:00 https://markezine.jp/article/detail/40385

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