手ぶらで病院に行き、薬を受け取ってそのまま帰宅。受けた診療や処方された薬の代金が、アプリに登録したクレジットカードから引き落とされる。そんな次世代のクリニックが誕生する。開発を手掛けるのは、デジタルを活用した次世代クリニックを都内4カ所に展開するリンクウェル(東京・港)だ。

デジタル技術を活用した次世代クリニック「クリニックフォア」を展開するリンクウェル(東京・港)は4月2日から、アプリを活用して来院前に事前決済できるサービスを始める
デジタル技術を活用した次世代クリニック「クリニックフォア」を展開するリンクウェル(東京・港)は4月2日から、アプリを活用して来院前に事前決済できるサービスを始める

 「タクシー配車アプリのように、アプリで予約して、事前決済を申し込めるクリニックを目指した」

 リンクウェルCEO(最高経営責任者)の金子和真氏は新サービス開発の狙いをこう語る。病院の利用にまつわるわずらわしさを極力なくし、優れたUX(ユーザー体験)の実現を目指して事業を展開している。そのために同社はさまざまなデジタル技術を取り入れたクリニック「クリニックフォア」を2018年から展開してきた。20年4月2日に提供を始めるスマートフォン向けアプリ「CLINIC FOR YOU」は、そうした取り組みをさらに推し進める役割を担う。

 CLINIC FOR YOUはクリニックフォアの診察予約、決済、検査結果の閲覧などの機能が搭載されたアプリだ。診察予約はその名の通り、アプリで診察の予約ができる。クリニックフォアでは病院の営業時間中に15分単位で予約を受け付けている。空いている時間帯から都合の良い時間を予約すれば、待ち時間の短縮につながる。

 また、予約後はWeb上で問診を行う。症状や発症時期などを事前に入力してもらうことで、来院時に医師に説明する手間を省く。これもUX向上の一環だ。予約機能自体は既にWebサイトで提供していたものをアプリに搭載した。

 アプリならではの機能では決済が挙げられる。診察を予約した後にアプリに登録したクレジットカードで事前に決済を完了しておくと、診察後の支払い手続きが不要になる。クリニックフォアは病院内に薬の在庫を保有し、その場で処方する院内処方の業態だ。患者はアプリで予約した日時に来院して診察を受けた後、院内で処方された薬を受け取ってそのまま帰宅できる。すると、診察料と薬の代金がアプリに登録しているクレジットカードで支払われる。処方された薬はすべて履歴として残るため、「おくすり手帳」代わりにもなる。

 これは乗車前に決済をして、降車時には支払いが必要ない「Uber」の医療版とも言える取り組みだ。「医療行為は受けた診療や処方された薬で、自動的に価格が決まる。キャンペーンによる割り引きなどもないため、価格の変動がなく事前決済と相性が良いと考えた」と金子氏は説明する。これらの機能で院内での待ち時間を減らし、病院利用のストレスを軽減する。同時に院内で支払いなどの不要な接触を避けられるため、新型コロナウイルスの感染防止にも一役買いそうだ。

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