ワンダービューティ(Wander Beauty)はしばしば、商品開発の参考にカスタマーフィードバックを求めるが、これは多くのビューティブランド勢も実施している。ただ、最新アイシャドウパレットでは、これまでと異なり、顧客と直接連絡を取り合いながらの共同開発という、より深いアプローチをとった。
ワンダービューティ(Wander Beauty)はしばしば、商品開発の参考にカスタマーフィードバックを求めるが、これは多くのビューティブランド勢も実施している。ただ、最新アイシャドウパレットでは、これまでと異なり、顧客と直接連絡を取り合いながらの共同開発という、より深いアプローチをとった。
その新商品、ワンダレス・エスケイプ(Wanderess Escape)は、アイシャドウパレットとしてははじめて、同社のラインナップに今後も残ることになる――これまでのパレットはどれも、限定スペシャルエディションだった。定番品を求める声は以前から寄せられており、それならばと、ワンダービューティは今回、商品開発に顧客自身の手を借りることにした。
その手始めが2019年4月末、ニューヨークシティに出店したポップアップでの試みだ。そこで、まずは大まかなムードボードを作るべく、写真をはじめ、インスピレーションの元になるものを持ち寄るよう、顧客に協力を促し、これを6月末まで続けた。その一方で、専用のeメールアドレスとランディングページも設け、4月から7月にかけて意見を募り、最終的に候補を10色に絞り込んだ。同ページへの誘導はソーシャルメディアを利用した。
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ワンダービューティはセフォラ(Sephora)、ノーズドロム(Nordstrom)、バーチボックス(Birchbox)を介して販売しており、売上の50%近くをD2Cが占めている。純収益は、共同創設者/CEOディヴィア・ググナニ氏によると、2018年から2019年にかけて100%以上の伸びを記録した。
「顧客との共同開発に強い可能性」
「ソーシャルメディアはブランドのビジネスを一変させている。なんといっても、顧客といつでも好きなときにコミュニケーションを取れるのが大きい」と、共同創設者/クリエイティブディレクターのリンゼイ・エリンソン氏はいう。「だからこそ、手持ちのデータや彼らとの会話を商品開発に使わない手はない、と考えた。インフルエンサーやセレブと[コラボのために]契約するよりも、顧客との共同開発に強い可能性感じている」。
同社のD2Cコアカスタマーは25才から54才で、ニューヨーク州、カリフォルニア州、テキサス州、フロリダ州に集中している。同社の元には消費者から1日平均300~500のダイレクトメッセージ、eメール、または電話が来るという。エリンソン氏によると、今回の新パレットには、開発段階で数千もの提案が寄せられたが、同社は最終的な形を決めかねていた。そこで、カスタマーサービスチームがそれらの案/意見をExcelファイルにまとめ、過去の限定エディションパレットで得た洞察とカスタマーフィードバックに基づき、候補の10色を選んだ。たとえば、新作パレットにより多くのマット系を求める声があることを掴んでいたため、10色のうち4色はマットにしたと、ググナニ氏は語る。
「弊社は基本的にD2Cブランドであり、顧客の人物像も、彼女たちがどんな商品に反応するのかも、かなり正確に把握している。さらに、複数のカスタマーサービスチャンネルを通じ、彼女たちと日々の交流にも努めている」と,ググナニ氏。「リテーラー頼りのブランドの場合、そうした追加情報は、いわばフィルターのかかったスナップ写真程度のものでしかない」。
宣材の制作までも顧客の手で
2019年8月に開始した色の絞り込みが10月に終わると、ソーシャルメディアを通じて顧客に再び連絡し、候補10色それぞれの名前を募集した。もっとも、これは、はじめての試みではなく、同社は以前から、商品名、色、美容に関する悩みなどについて、インスタグラムストーリーズのアンケート機能を利用して調査を行なっている。また、それとは別に、常連客やメイクアップアーティスト、インフルエンサーの女性100人以上からなる選抜グループも確保しており、同社は2020年1月から2月にかけて彼女たちに候補の10色を送り、品質と色合いについて意見を求めた。
2月には、宣材の制作にも取りかかり、色に関する意見/案を採用した10人の女性に再度連絡を取った。エリソン氏によれば、7人は同社オフィスで行なった動画撮影に参加してもらい、残り3人には自宅で撮ってもらった。こうして、今回の最新キャンペーン用に、動画と写真を合わせて約30の宣材を制作した。
EMMA SANDLER(原文 / 訳:SI Japan)