写真はイメージです。
撮影:竹井俊晴
「コロナショック」から徐々に経済は回り始めているが、単純にこのまま元どおりに回復とはならないかもしれない……そんな可能性を示唆する消費動向データが出てきた。
JCBとナウキャストが8月3日に発表した100万人調査「国内消費動向指数『JCB消費NOW』の7月前半(7月1日~7月15日)の速報値」に、その状況が現れている。
※「JCB消費NOW」とは:JCBグループ会員のうち、約100万会員のクレジットカード決済情報を基にJCBとナウキャストが算出した、“現金を含む国内の消費全体を捉えた消費動向指数”。
コロナ禍で需要が急減、その後の給付金などで押し上げられていた可能性のある消費(全体を総合した「全総合」)が、4月以降初めて回復傾向に歯止めがかかった。
個別に見ると、サービス業などを中心とするサービス総合は、トータルでは「2割減経済」という状況になっていることがわかる。
出典:JCB/ナウキャスト「JCB消費NOW」
外食・交通は「3割減経済」状態
とりわけ、資金繰り面で厳しい状況にあると指摘される外食産業は、6月後半で回復傾向が止まり、7月前半には再びコロナ感染拡大前と比べて、マイナス35%程度に落ち込んだことが分かる。
出典:JCB/ナウキャスト「JCB消費NOW」
また、百貨店についても似た傾向で、6月後半でマイナス10%程度まで回復したものの、7月前半には再びマイナス25%程度に落ち込んだ状況。こちらも「3割減経済」が続いている。
出典:JCB/ナウキャスト「JCB消費NOW」
娯楽関係は、遊園地が7月前半にマイナス40%に急回復しているものの、映画館は7月前半でもマイナス80%という状況にあるなど、「回復傾向」にあるとはいえ楽観的な状況ではないことも分かる。
出典:JCB/ナウキャスト「JCB消費NOW」
耐久消費財は一巡?「巣ごもり復活」の兆候も
7月23日の銀座の様子。
撮影:吉川慧
一方、コロナ禍の巣ごもり消費にあわせて伸長した家電や家具といった耐久消費財は、明らかな落ち着きが見えてきた。とりわけ家具についてはプラス10%を切る状況で、ほぼ需要が一巡したと見える。
出典:JCB/ナウキャスト「JCB消費NOW」
報道では、PCR検査数増の影響もあり、連日にわたって感染者数の増加が指摘されている。こうした情報などから、市中の警戒感は増している状況にある。
出典:JCB/ナウキャスト「JCB消費NOW」
同速報レポートでは、デジタル消費における「コンテンツ配信」が5月前半以降、変化率が下降を続けていたところ、7月前半に再び30%近くまで一気に戻ったことにも言及。
「巣ごもり消費が復活している可能性が考えられる」として締めくくっている。
(文・伊藤有)