メンズメイクがオンライン面接では効果的かもしれない。
Shutterstock
男性がオンライン面接を受ける時、眉毛の形を整えたり、肌の色を整えたりとメイクをした方が、面接官の印象がよくなる——。
そんな実験結果を、資生堂が芝浦工業大大倉典子・名誉教授の監修の下、まとめた。
実験の結果、「メンズメイクはオンライン上でのミーティングの際、相手をリラックスさせ、好感度を上げる可能性がある」としている。
実験は資生堂のメンズブランド・ウーノ が6月27日と7月4日に分けて実施。20 代の男性4人にメイクした状態と、メイクしていない状態で、パソコン画面を通じて面談(オンラインミーティング)を行った。資生堂とは無関係の30代、40代の男女各3人が、面接官として面接の様子をモニターで観察し、面接後に好感度を判定。また面接官の脳波と心拍を観測し、リラックス状態などを測定した。
メイクの内容は、肌の色やキメを整えて見せる「BBクリーム」と、眉の形を整えるため「アイブロウ」、血色をよく見せる「リップクリーム」を使用した。
メイクあり「目ヂカラ」「自信がある」評価
メイクありの方が、面接官が好感度を感じていた。
提供:ウーノ
アンケートの結果、第一印象の好感度については、面談を受けた男性全員が「メイクあり」の方が好感度が高かった。
「とても好感を持った」を100%とし、「全く好感を感じなかった」を0%として100段階で評価した平均値は、「メイクあり」が71%となり、「メイクなし」の47%よりも23ポイント高かった。
「清潔感を感じる」「目ヂカラがある」「肌がきれい」など外の項目評価でも「メイクあり」の方が高くなった。
また内面の印象でも、「安心感がある」「元気がある」「自信がある」「垢ぬけている」などの項目で「メイクあり」の方が高評価だった。
インタビューする側、穏やかな気持ちに?
脳波を調べると、メイクありの方が面接官が「穏やか」「心地よい」と感じていた。
提供:ウーノ
また実験で面接官の脳波を調べたところ、メイクをしている場合のほうが、面接官側の緊張が抑えられたという。
面接官役の6人の脳波をみてみると、「メイクなし」の場合「穏やか」「心地よい」と感じている割合は37%だったが、「メイクあり」の場合は42%に上昇した。
また心拍数の測定でも「メイクあり」の方が、面接官の心拍数が低下し、リラックス状態が高いことが推定された。
調査では「メイクをした男性と画面越しと接する際、インタビューする側が穏やかな気持ちで接することができる可能性がある」としている。
メイクで本人にも自信
メイクの有無を調べた実験の様子。
提供:ウーノ
実験を監修した芝浦工業大の大倉典子・名誉教授によると、メイクの効果は面接を観察していた面接官だけでなく、メイクをした本人にも現れたという。
「面接を受けた男性4人全員が、『メイク時のほうが達成度が高かった』と回答しています。メイクをすることで本人も自信を持って話ができており、それがポジティブな評価につながっていると推察されます」
オンラインでのコミュニケーションでは、メイクが役立つ可能性があるという。
「オンラインでもいかに相手とフランクに会話できるかが重要なスキルの一つになると思います。
今回の実験で、メンズメイクは相手をリラックスさせる可能性があると分かりました。リモートコミュニケーションのテクニックとして、メンズメイクを取り入れてみるのもいいかもしれません」
コロナ禍でもメンズメイクは好調
化粧品売り場には男性向けのコーナーがあるお店もある。「@cosme TOKYO」で撮影。
撮影:横山耕太郎
資生堂が2020年8月6日に発表した第2四半期決算によると、インバウンド需要の落ち込みの影響などで、「国内事業」の売上高は前年比 31.9%減の1505 億円と苦戦が続く。
一方で、ウーノによるとメンズメイク商品の売り上げは堅調という。
ウーノによると、緊急事態宣言が出た2020年4月の推定販売金額は、アイブロウ「ウーノ バランスクリエイター」は2020年3月比で232%、BBクリーム「ウーノ フェイスカラークリエイターシリーズ」は同129%と売上を伸ばしているという。
オンライン会議などでの見栄えをよくするための消費では、20代男性が最も多いというアンケート調査もある。
オンラインでの見た目を気にしている男性は少なくないと言えそうだ。
(文・横山耕太郎)