中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

休日消費に起きている変化。キーワードは即時配送、到家サービス、家族

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明日、vol. 041が発行になります。

 

中国の新型コロナの感染拡大は、3月の頭には終息が見え、4月の頭にはほとんど新規感染者が出ない状況になりました。それ以来、小さなクラスターは起きていますが、第2波と呼べるほどの大きな感染拡大は起きていません。

世界で最初に新型コロナが感染拡大をした震源地でありながら、世界に先駆けて終息を迎えています。

それから半年、大きな打撃を受けた旅行業が復活をしています。10月1日の国慶節(建国記念日)と中秋節が重なり、8日までの8連休。金曜日の9日を休んでしまえば、11日間が休みとなるゴールデンウィークです。コロナ禍の影響もかなりなくなり、この大型連休は多くの人が旅行をすると見られていました。

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▲中国の新型コロナ新規要請者数(赤)。第2波と呼べる感染拡大は起こらなかった。ただし、空港検疫による海外からの流入と無症状感染者は現在でも散発的に確認される状態が続いている。

 

しかし、文化旅行部の発表によると、旅行に出かけた人は5.5億人でした。これは大きな数字に見えますが、昨年の国慶節での旅行人数が7.82億人ということを考えると、意外に控えた人も多かったようです。

日本の報道では、すっかりコロナのことなんか忘れて、三蜜三昧の観光旅行を楽しむ中国人という文脈での報道がされていますが、実際は意外に慎重なようです。

例えば、上海市を始めとする大都市の小中高校では、生徒学生に向けて、国慶節期間に省外などの長距離旅行にいかないように勧告をしています。もし、必要があって遠方に行った場合は、一定期間、帰宅後の自宅隔離を求めています。学校の教師や公務員の一部の職種でも、省外への旅行を制限しています。

文化旅行部は慎重な施策を打ち出していて、旅行者にはマスクの着用を求めています。また、各地の観光地には、最大収容人数の75%までしか観光客を受け入れず、ウェブでの事前予約制を実行することを求めています。さらに、観光地に入る時には体温測定を行い、発熱をしている人を入れないようにも求めています。

私個人も、この慎重さは少し意外でした。国内のコロナ感染は終息をしているとはいうものの、空港検疫ではまだ毎日10人程度の陽性患者が確認されていること、また、中国政府は現在「無症状感染者」の捜索に力を入れていて、数十人単位で見つかることもあることから、再燃させないことに神経を尖らせているのかもしれません。

各航空会社は、国際線が大幅減便になったため、国際線用機材を国内線に回して、国内乗客を獲得しようと、さまざまな割引キャンペーンを行いましたが、それでも、国内線空港利用者数は2019年の国慶節の86%と、大幅に改善はしたものの、まだまだ本調子とはいかない状況です。

 

観光地でもうれしくもあり、うれしくもなしという微妙な反応だったようです。それまで壊滅状態だった旅行客が戻ってきたことはもちろん何よりうれしいことですが、観光業は現状を「構造的な回復にすぎない」と見ています。

これまで旅行を我慢していた人が国慶節連休に集中をしたこと、海外旅行が全面禁止になっていること、旅行費用がかなり安くなっていること、地方政府が旅行クーポンなどを配布していることからの一時的な需要ではないかと見ているのです。全国1500以上の観光地が入場料を割引または無料にし、20以上の省政府が観光客向けのクーポンを配布しています。ホテルも相場の価格が3割も下がり、旅行にかかる費用は大きく下がりました。

そういう特典を利用して旅行をする観光客は、またきてくれるとは限らない。これで海外旅行が解禁になると、国内旅行は減少してしまうこともあるのではないか。そういう不安がある中で、7割回復というのはいかにも心許ないというわけです。

マッキンゼー中国が4月から8月にかけて調査した消費動向の調査では、「次に旅行に行く時期」を尋ねています。この回答によると、36%の人が国慶節と答え、それ以外の時期と答えた人はいずれも10%台でした。

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マッキンゼー中国の「次に旅行に行く時期」を尋ねたアンケート調査の結果。圧倒的に多いのが国慶節の大型連休だったが、人手は7割程度に止まった。

 

それだけでなく、旅行者側も楽しみ方を大きく変えているようです。例えば、博物館、美術館といった屋内観光施設の人気が下がり、西湖、外灘といった屋外観光スポットの人気が上昇をしています。入場予約を取るのが煩わしいのと、やはりまだどこかに感染の不安があるのだと思います。屋外スポットであれば、予約の必要もなく、人が過密になっていたら避けることもできる。そういうことではないかと思います。

それだけでなく、旅先での行動にも変化が生まれています。また、旅行にいかなった人は都市の中で連休をすごすことになりますが、そのすごし方にも変化が生まれています。日本でもGoToキャンペーンなどで旅行に行く人が戻り始めていますが、決して以前と同じ旅行の仕方ではないはずです。また、休日を自宅ですごす過ごし方もコロナ禍以前とは大きく変わったはずです。

中国で起きている変化が、そのまま日本でも起こるとは限りませんが、これからの参考にしていただければ幸いです。

今回は、中国の休日のすごし方に起きている変化についてご紹介します。

 

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