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学習ユーザーの心理を捉えて150万ダウンロードに成長。AI英会話「スピークバディ」が語る、転換点になった2つのアプリ機能。課金ポイントを最初に置く理由

AI英会話アプリの「スピークバディ」を取材しました。

株式会社スピークバディ CEO 立石剛史さん、マーケティング責任者 緑川貴章さん、グロース責任者 添野紘生さん

「スピークバディ」について教えてください。

立石:
スピークバディは、スピーキング特化型の「AI英会話アプリ」です。AIキャラクターを相手に、誰にも気を遣わずに、たのしく英語学習ができます。

ユーザー数としては、150万ダウンロードを突破していて、有料ユーザー数(サブスク)は2.5万人に到達しています。

特徴としては、平均の継続月数が「約12ヶ月」と長いところと、ユーザーの半数以上(60%)が週1回以上ログインする、アクティブ率の高さだと考えています。

転換点になった機能① 「カリキュラム機能」(2017年)

添野:
初期は、どんどん「コンテンツの数」を増やしていったのですが、次第に「コンテンツが多すぎて選べない」という課題にぶつかりました。

それをうまく解決できたのが、2017年に実装した「カリキュラム」という、ユーザーひとりひとりに合わせたレッスンを提案する機能でした。

もともとは、数百のレッスンから「自分に合うもの」を探してもらう形でしたが、それだと「コンテンツを選ぶこと」に疲れてしまいます。

そこで、ユーザーの「英語レベルや勉強時間」などを聞いて、アプリ側からカリキュラムを提案するようにした結果、学習すべきことが「一本道」になったことで、ユーザーの継続率がかなり改善しました。

例えるなら、英会話スクールに入ったときに「ここに参考書があるから自由に勉強してね」と言われても、どれを選べばいいかわからない。

それよりも、先生が「このレベルでこの目的ならこう勉強すれば伸びるよ」と適切なレッスンを提示してくれたほうが、ユーザー体験は高まります。

カリキュラムは「勉強しすぎ」による燃え尽き離脱を防いで、コンスタントに学習を続けてもらう「習慣化を促進する効果」もあった。これもユーザーの継続率に貢献。

転換点になった機能② AIが英会話力をはかる「レベルチェックテスト」(2019年)

立石:
そこから、数年間は売上に伸び悩んでしまい、2019年に資金難に陥ります。

当時の売上としては月500万円ほど。約10名でアプリを運営していました。この状況だと投資家さんからはほぼ投資してもらえません。

そこで、なんとか売上を伸ばそうと、起死回生の一手で開発したのが、AIが英会話力を測定する「レベルチェックテスト」でした。

ユーザーの英会話スキルを「文法の正しさ、語彙力、発音」などで判断する機能を開発したところ、アプリの売上が大きく改善したんです。

ユーザーの英会話力を「文法の正しさ、語彙力、発音」などから判断する機能。

なぜこの機能で「アプリの売上」が伸びたのでしょう?

添野:
アプリのはじめに「AIによる英会話テスト」を置いたことで、AI英会話というものへの「ユーザーの期待感」が高まるようになったんです。

これまでは、最初に課金画面を出していたので「AI英会話がどんなものか」がユーザーに伝わりにくかったのだと思います。

結果的に「期待感の上昇」によって、サブスク課金率が2倍になりました。また「レベルの測定」によって学習の目標がセットされたこともあってか、ユーザーの継続率も改善されて、売上や収益性がかなり伸びました。

この機能は、なんとか成功させないと「事業を続けられないかも」という中で必死に開発したので、開発陣としての思い入れも強かったですね。

そこからは、どのように売上が伸びていきましたか?

立石:
この機能が成功したことで、良いサイクルが回りはじめます。

具体的には、1ユーザーあたり収益性(LTV)が一気にグッと伸びたことで、広告プロモーションを打ってもコスト回収できるようになったんです。

とくにApp Storeの「Search Ads(検索広告)」がはじまった初期は、1ダウンロード100円で集客できた時期があって、ユーザー数をかなり伸ばせたのも大きかったです。新しい媒体には早く参入するとチャンスがあります。

レベルチェックテストとプロモーションの相乗効果で、売上が3倍ほどまで伸びていって(月500万円→月1,500万円)、売上が安定したことで投資家さんからの大きな出資も決まっていきました。

現在の「プロモーション戦略」について

緑川:
現在のプロモーションは、様々な媒体で試していて「1ダウンロード数百円」で獲得できている、という感じですね。

ディスプレイ広告より検索系広告のほうが、英語教材の検討後に来てくれる人が多いため、収益性(LTV)や課金率は高い傾向にあります。

ユーザーインタビューをすると、オンライン英会話を経験した人が、スピークバディのロイヤルユーザーになる、という動きも見えてきています。

英語でのアウトプットの必要性は感じているけれど、オンライン英会話だと継続できないからアプリを利用してくれる、という方が多いですね。

学習系のアプリを運営するときに「ここはポイントだ」と思うことがあれば教えてください。

立石:
学習アプリのポイントは、学習意欲が高いのは「一番はじめ」なので、課金ポイントは最初に置いたほうが成立しやすいことです。

例えば、App Storeで1位になった「ペラペラ英語」は、最初はフリーミアムモデル(基本無料)でサービスを提供していたんですよね。

それを有料アプリに切り替えたら、月数十万円ほどの売上だったアプリが、あれよあれよと「月数千万円の売上」に伸びた時期がありました。ビジネスモデルを変えただけです。コンテンツは大きく変えていません。

ということもあって、学習アプリは「最初にお金を払ってもらって、その後つかい倒してもらう」という形が良いのかなと考えています。

思い返してみると、英会話スクールとかでも最初に大きな金額を払って、「払ったからには頑張ろう」と気合いを入れますよね。アプリでも同じで、最初に投資をすると「回収しよう頑張ろう」という心理が働きます。

スピークバディでは、カフェでの英会話なら「カフェの雑音」も流れます。これは意図的にそうしていますか?

添野:
これは意図的ですね。カフェの音やノック音があるほうが、現実のシチュエーションに近づいて、「ロールプレイの没入感」が高まるためです。

立石:
これは言語の専門家の方に聞いたのですが、言語のフレーズというのはシチュエーションといった「コンテキスト(文脈)」と一緒に覚えることが、脳の定着にとって大事なのだそうです。

つまり、ただ「フレーズの羅列」として学習するよりも、「この言葉はこういう場面で使うんだな」とコンテキストと一緒に学習したほうが良いので、それをスピークバディにも取り入れています。

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【取材協力】
株式会社スピークバディ:https://www.speakbuddy.jp/
スピークバディ:https://app.speakbuddy.me/
CEOの立石さん:@tsuyo_tateishi

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